『自然と食の歳時記』「手づくりの充実感と達成感」-お弁当箱がつなぐ心

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自然と食の歳時記
[第3回] 「手づくりの充実感と達成感」-お弁当箱がつなぐ心
 「ただいま」「わぁ!今日もお弁当箱空っぽ!」
 その瞬間、子供の今日一日の充実感を垣間見ることができる。“幼稚園楽しかったんだろうな。お友達と仲良く食べられたんだね”。そんな想像をかきたてられる。

 その反対に、反抗期の子どもが食べ残したお弁当箱の重さには、学校生活の悩みが伺われて胸が痛む。グーッとこちらも耐える瞬間だ。
 日々やりとりするお弁当箱は、作り手とそれを食べる人の、互いの思いをつなぐもの。

 ある高校の卒業の日のホームルーム。一人の生徒が、「母さん、デキの悪い俺のために、毎日弁当作ってくれてありがとう」と号泣する姿があった。教室の後ろで目頭を押さえる母親。一見不良っぽいその生徒の素直さに触れ、親子の温かい心の絆が伝わってくる瞬間だった。

 人々の暮らしから「手間」というものが消えていく時代。今や、料理を手抜きするのもあたり前と考えている人が多い。しかも毎朝、眠さや寒さを我慢してお弁当を作るのは、決して容易ではないこと。
 けれどもその積み重ねは、子どもにとって、栄養や美味しさよりももっと大切な、心の支えや拠りどころといったものを、育んでいるのかもしれない。
 たとえおにぎり一個の質素なものだとしても、手作りのお弁当は、どんなご馳走より心豊かなものだろう。

 あの時、台所に立っていた後姿が、励ましの言葉と一緒に手渡してくれたお弁当の温もりが、今日も家族の心の絆を作っている。
 伝え続けたい。どんな贅沢にも勝る心の豊かさ、その確かさを。
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