『自然と食の歳時記』「いただきます」-それは命への感謝

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自然と食の歳時記
[第1回] 「いただきます」-それは命への感謝
 「いただきまーす!」家族全員が食卓を囲み、一緒に手を合わせる。お腹の空いた子供たちは、ほかほかのご飯を幸せそうに頬張っている。そして誰からともなく、今日の出来事について話し出す。「今日ね、幼稚園でね、○○ちゃんと泥団子作ったよ!」

 一昔前は日常的だったこの食卓の風景が、今どんどん消え去ろうとしている。それに代わり、レストランでのある親子のやりとり。子供たちが「いただきます」と言おうとすると「お金払うから、ここでは言わなくていいの!」と、それを制止する母親。

 仰天してしまう・・・。あまりにも豊かになりすぎたこの国から、感謝の心が消え去ろうとしている。

 砲弾が飛んでくるわけでもなく、飢餓で食べ物を取り合うわけでもなく、平和な環境で“食べることができる”ことへの感謝の気持ち、そのとき目の前の“食べ物”は、間違いなく全てが“命”である。植物でも、動物でも、他の命を頂いて「私の命」にしていることに他ならない。「ありがとう・・・いただきます。」

 「命を育む土」から離れてしまって、電磁波や化学物質にまみれた生活をし、そのことを実感できない人が増えたことが、殺伐とした食卓の風景を作り出しているのかもしれない。
 14年前、私は医者だった最愛の妹を亡くした。そのときに強く思った。「人の肩書きや地位など何もいらない。とにかく家族揃って一つの食卓を囲み、粗食でもいい、温かいご飯やお酒を頂きながら笑って話せる、それこそが、人にとっての最大の喜びであり幸せである」と。
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